秋雨

昼職の忙しさからか今日は熱もあり

気絶したかのように寝通しだった

 


そのせいか眠れず、思考の波が部屋の中をグルグルと回ってる

 


あまりにも眠れないものだから波に逆らわず

思考に身を任せ筆をとってみる

 


先週のC barでのこと

金曜の夜だと言うのに生憎の雨

消防車が何台も来て仲通りにしばらく止まっていて

騒がしく

なんだか落ち着かない夜だった

 


終電を過ぎて人の波が少し落ち着いた頃

 


ひとりの女性が外の看板を物珍し気に眺めている

 


入る?と声を掛けると群馬から来て新宿で友達と会ったあと別れて終電を逃し

その足で二丁目に来てみたと言う。

何もかも初めてで31歳

年も自分に近くて何だか親近感を感じた私は話相手になった

それが仕事なんだけどね。笑

 


話を聞くと今は彼氏がいない。

女性に興味がないわけではない…気がすると

何だか曖昧な返事。

 


ゲイデビュー当時の自分の不安のようなものを彼女から私は感じた。

終電を逃したり、同性の話のくだり辺りで

この人は背中を押されたいのかなと思った。

 


Cbarはフランクな入りやすさから意外とそういう人も結構来る。

何にも経験も知り合いもいないけど二丁目に興味があって来てみたけど入れる店が無くて…って感じな。

 


一緒にビアンバー行ってみる?連れてってあげるからさ

 


私がそう言うと彼女は期待を目に浮かべてうんと

言った。

連れてってみると私も知らない世界。

ビアンバーの人にこの子初めてなのよ~!と紹介して

頑張ってねとお店に戻った。

 


何時間か経ってから

彼女が戻ってきた

 


話を聞くと何だか怖かったとの事。

いいなぁと思うような可愛い子はいたのだけど

その人の周りには人が居て人気者ぽくて近寄れなかった。

との事。

あぁ人間。その辺はレズもゲイも同じなのね…。人生

 


「でも良かったじゃない。自分がどっちか分かってさ。

両方イケるのよ!これから出会いとかもあるかもよ。私も最初はそうだったよ。」

 


「でも私、年も年だし…これからかぁ…」

 


「結局さぁ、人生誰に言われたからこうするとかじゃないじゃん?自分がしたいからする。何かを始めるのに遅過ぎるって事は無いと思うよ。」

 


続けて私

 


「なんかね…ゲイデビュー間もない頃の自分と貴女をちょっと重ねちゃった。居場所がなくてさ、同性が好きって言えないのって枷なんだよね。苦しさって言うかさ

だから二丁目に来たんだよね。貴女みたいに居場所も知り合いも居なくてさ、今は女装してこんなとこにいるけどw

でもお声がけいただいて今、私はここに居るのよ。なんて言うか上手く言えないけど、自分の人生だからさ、今日みたいに一歩踏み出してみてさ、良ければGOダメだったら帰りゃいいのよ。後悔ないようにしてみるのがいいと思うよ!」

 


みたいな事を酔った勢いでベラベラと喋った記憶がある。

彼女はそうだね…とワインを飲み干して始発で帰っていった。

 

 

 

女装という恋愛戦争の治外法権の立ち位置から

好き勝手言って励ましているようで

なんだか自分に言い聞かせていたような気がした。

誰にでも当てはまる事を言ってるのかと思えばそうだけど。

 

 

 

 

酔ってる時にいい事言ってる風な事って

文字にすると大したことないがちよねと

思った

 

 

色んな人がいる。

お店開けの帰り道、雨は上がっていた。